多和田葉子『夜ヒカル鶴の仮面』リーディング

2019年11月16日(土)多和田葉子 複数の私 vol.04 関連企画として、多和田葉子さんの戯曲リーディングを行います。


昨年11月、多和田葉子さんの『動物たちのバベル』をくにたち市民芸術小ホールにて上演しました。今年は、引き続き、geisho stage creationというシリーズで、多和田さんが1994年に発表した『夜ヒカル鶴の仮面』のリーディングを行います。

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私にとって、劇作家との出会いは、とても大事なことです。

多和田さんの著作はもう何年も前から読んでいて、特に『エクソフォニー――母語の外へ出る旅』(2003年、岩波書店)は大好き。何度でも、読み返したくなるし、何度読んでも、新しい発見がある1冊。

多和田さんのことばには、音と、言葉と、音楽と、意味がある。それがバッハのように奏でられることもあれば、ワーグナーのような大きな空間で響くこともあれば、日本語の童謡のように話しかけられる時もある。

そんな多和田さんのことばと出会い、いつか上演したいと思っていたのが、今回の『夜ヒカル鶴の仮面』。2000年に講談社から発刊された「光とゼラチンのライプチッヒ」に収録されていて、同書の中に収められている『捨てない女』も大好きな1篇(こちらは戯曲という体裁ではないけれど)。

『夜ヒカル鶴の仮面』を上演してみないかとお話をいただき、正直、普通の創作プロセスではかなわないと思いました。実は、2016年に東京学芸大学の演劇ゼミ(学生の自主的な集まり)にて『夜ヒカル鶴の仮面』の試演会を行っていますが、本当にこの戯曲は手ごわい。ただ、あの時、学生メンバーのつくった仮面のクオリティが素晴らしかったこと、発語される戯曲のことばがユーモアにあふれていて本格的に取り組んでみたいと思ったことが、これから始まる一連の作業の礎となるので、当時の学生メンバーにはとても感謝しています。

そんなわけで、この先すこし長い期間をかけて、この戯曲の上演に取り組んでいきたいと思います。その第一弾が今回のリーディングです。

リーディングというと、舞台上に並んで座った俳優が台本を読む、とか、台本を持ったまま半分立ち稽古のような形での上演と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、リーディングという演劇形式の可能性はそれにとどまらず、一番大切なのは戯曲の存在を明らかにすること、だと思っています。

その戯曲が、そのことばが、その背景にある作家の身体が、そこに存在すること。その存在の仕方を可視化(可聴化)できるのがリーディングではないかと思います。そのためには俳優たちの身体と共に、演劇として遊び倒していく必要があります。

今回の『夜ヒカル鶴の仮面』のリーディングは、まさにPLAY、どんな遊びが開発できるか、出演者と一緒に劇場で遊びながら作っていきたいと思います。

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それから、この企画を共に推進してくださっているのが、TMP(多和田/ミュラー・プロジェクト)です。

詳しくはこちらのTMP設立宣言をご覧いただければと思います。

ドイツ演劇研究者の谷川道子さんを中心に、多和田葉子とハイナー・ミュラーをめぐる様々な演劇実践と研究が、つながり、共に作業し、何かを織りなそうという、そんな壮大な取り組みの一端でもあります。

今回のリーディングの企画においても、このために小松原由理さんがドイツ語から訳し下ろされた『オルフォイスあるいはイザナギ』が、小山ゆうなさんの演出で上演されます。ほかにもたくさんの企画が繰り広げられておりますので、是非、あわせてご覧いただけましたら嬉しいです。

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みなさまのお越しを、劇場でお待ちしております。

川口智子


Tomoco KAWAGUCHI 川口智子

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