【おとなの読み聞かせ】HIRAKUで読むシリーズ#1 イヴァン・イリイチ『シャドウ・ワーク~生活のあり方を問う』

2023年5月池袋東側にOPENしたHIRAKU IKEBUKURO 01 Social Design Libraryで「大人の読み聞かせ」シリーズを開始しました!

来年から年に3回を目途に、今取り上げたい思想家・著作をHIRAKU図書館から選んで俳優さんによるリーディング上演+トークという企画で展開していきたいと思っています。

きっかけは2022年11月くにたち市民芸術小ホールで企画・制作した「『エンデの遺言』を読む」。南ドイツの作家、ミヒャエル・エンデが「お金」について語ったNHKのドキュメンタリー番組を基に河邑厚徳さんが編集された『エンデの遺言』から抜粋・構成して上演したテキスト・シェアリングでした。

劇場という場所のひとつの可能性として、物語ることとは別の側面、言葉を言葉のままに共有するというシンプルな構造、それによるある種の”政治的”な意見交換の場をヒラクこと。こうやって言葉にするとなんだか固くなってしまうけれども、今回のトークでも話したように今、”政治”と言ったときに、その言葉の指す内容は刻一刻と変っているし、その意味では2023年の演劇の上演においてもある”政治性”というのは存在していると思います。

HIRAKUの社会デザインに関連する図書館という性格を大事にして、ファウンダーの中村陽一さんが初回テキストに選んでくださったのがイヴァン・イリイチの『シャドウ・ワーク』でした。イリイチの語りの息の長さを感じると、リーディングとして構成するにあたりなるべく翻訳された原文をそのまま(これはエンデの時にも守っていたことだけれども)、テキストとしては1/100くらいの分量になっていますが、そこでどうイリイチの言葉を聴くか。俳優の埜本幸良さんとのリハーサルを通して、イリイチと言いつつ、イリイチ以外でもある、そんな作品として立ちあがったのは素敵な体験でした。

マシュー建築設計事務所さんが手掛けられたHIRAKU IKEBUKURO 01はとても居心地のいい空間で、幸良さん曰く「知の秘密基地」。たしかに。そんな場に、”大人たち”が集まり、読書に参加してくださるとてもいい夕べでした。

そこは、いつもの劇場とは違う体験の場所でもあるのかもしれません。いつの間にか、私の頭の中でも制度化されつつあったのかもしれない劇場/舞台/客席が、この企画により思いもしない側から解放されるのかもしれない。この思考の旅は続くことになりそうです。

HIRAKUではまた春ごろに「大人の読み聞かせ」を予定しています。お楽しみに!


2023年11月24日(金)

第一部 monologue

イヴァン・イリイチ『シャドウ・ワーク』を読む

構成・演出  川口智子  

出演:埜本幸良 

第二部 dialogue

中村陽一(HIRAKU IKEBUKURO 01)× 川口智子

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主催:株式会社ブルーブラックカンパニー

制作・写真:マシュー建築設計事務所

会場:HIRAKU IKEBUKU 01 Social Design Library 


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