「4時48分 精神崩壊」リハーサルノート

【更新中】パンクオペラ『4時48分精神崩壊』開幕までの道のり。リハーサル編。

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Day 45

明日が初日なので、この「リハーサルノート」も今日で最後。

45日、いやいや、もっと長い道のりでした。

2018年のニーナ・ケイン、滝本直子との若葉町ウォーフでのレジデンスから、この長い制作の道のりが始まり、ようやく明日、初日を迎えます。

今、作品が初日を迎えられるということが、いろんな方の応援と、偶然の重なりであると思います。明日、この作品が誕生できますよう。誕生する作品が、私たちの手元を旅立ち、お客さんの元に届きますよう。

Day 44

地下から渋谷に上がると、偽物みたいな街路樹の桜が咲いていてびっくり。偽物のように感じたのは春が正式にやってきてくれないからかもしれない。

今日から、照明・音響のスタッフも乗り込み、仕込みは急ピッチで進む。もともと移動を前提につくってある作品なので、仕込み自体は軽やかだと思う。

午後には出演者も入って舞台稽古が始まる。

space EDGEが好きなのは、「劇場をつくる」ができること。何もない(雰囲気がある)場所に、私たちが劇場をつくる。初日まで、あと2日。

Day 43

2020年3月18日。劇場入り。space EDGE。
いよいよ東京・渋谷での初日が3日後に迫っている。
今日は出演者はお休みで、舞台と映像のスタッフだけ先駆けての劇場入り。
会場であるspace EDGEは2010年のクレンズドシリーズ4作品を上演していた、いわば、ホームのような場所。渋谷の駅がダンジョン化しているので、行き方は難しくなったけど、いつでも行くと気持ちが落ち着く。
昨日の通し稽古から、パフォーマンスの時間は出演者のものになり始めていて、私は劇場での作業に移る。角田美和のジュエリーもいいし、北川未来&野畑太陽の映像もいい。いつもの舞台スタッフたちの仕事も加わって、ここからは総力戦のフェイズ。

Day 42

ここでは、クリエイションの内容を中心に書いていたい。

サラ・ケインの”4.48 Psychosis”という作品では、「Other」という言葉が何度か登場する。「the other」でも「others」でも「another」でもなく「Other」だ。

最初の読み合わせの時に、これがどういう言葉かをドラマトゥルクのニーナ・ケインに訊いた。曰く、90年代のフェミニズム運動とも関連して登場した言葉で、すべての社会的マイノリティを指す言葉であると。ということは、Otherは単数ではなく、複数としてとらえるべきかと訊くと、「そうだ」と言う。

このOtherという言葉に出会い、サイコシスの読みが多層に広がることになった。この演劇はOtherの演劇だ。

初日まで、あと通しを4回。レッツ・パンク!


Day 41

稽古前、滝本さんと、新吉原総霊山にお参りにいく。

昨日は「1」~「24」が、即興でつながった。

改めて、この作品の力強さが浮き上がってくる。友人の古賀くんが、本番を見られないのでと稽古場に来てくれる。マイクが立っていると歌わないといけない、その強制感について話をする。マイクがあると、歌わないといけない。同時に、歌を歌わなければ、呼吸もできない。その引っ張り合いだ。

この上演もリーディング版と同じように「テキスト・シェアリング」なのだ。

長島確×川口智子、サイコシスを語る。を掲載しました。長島確さんのサラ・ケインと音楽のつながりのお話、やはりとても面白い。

Day 40

桜も咲いたというのに雪が降った。

サイコシスの最後の場面に

          All I know
   is snow
         and black despair

   私が知っているのは

   雪と

        黒い絶望

とある。

ここでの雪は、やっぱりダッハウのことだろうか。

再び、ロラン・バルトの『恋愛のディスクール』の一節が思い出される。

恋愛の破局は、おそらく、精神病の領域で限界状況と呼ばれてきたものに近い。すなわち、「主体が、自分を償いようのないところまで破壊しゆくものとして体験する状況」である。このイメージの由来はダハウで起こったことにある。恋愛で苦しんでいる主体の状況をダハウに収容された人びとの状況と比較するというのは、いささか不穏当なことではないか。所詮はおのれの「想像界」に捉えられているだけの、いたって気楽な主体の身に起る、ささいで、子供じみて、気どりと曖昧さにみちた偶発的事件の中に、歴史上最大の不法行為が再現されているというのか。この二つの状況には、しかし、次の二つの共通点がある。両者はいずれも、文字通りのパニックである。いずれもが、余すところなく徹底的でやりなおしのきかぬ状況である。わたしは強烈な力であの人の中に投影されており、ひとたびあの人を欠くとなると、再び自分を捉えることも、とり戻すこともできなくなる。わたしは永遠に失われてしまうのだ。 ロラン・バルト『恋愛のディスクール・断章』三好郁朗訳、みすず書房、1980 年

主催の一般社団法人PAIRとも話し合いを重ね、公演に実施にあたる対策と「応援チケット」の販売を始めました。詳細はこちら。

初日まで1週間を切り、今日は最後まで通し。


Day 39

引き続き、歌稽古と通し稽古。全体の7/11くらい来たかな。11分の7。

こんなつくり方のオペラはないかもしれない。指揮者なし、キューなし、振付なし、言葉と音楽以外は全即興。歌と即興の関係性が面白い。7/11で約1時間の通しを終えると、演者はすでにクタクタなのかもしれない。ものすごい集中力。

滝本さんがひとりで読み続けたテキスト・シェアリング版とまさに表裏一体、あそこから照射された作品が立ち上がってきている。作り上げているというよりも、作品が勝手に立ち上がってくる。だから、協働作業は面白い。

さあ。今日もサラ・ケインの言葉に立ち返ろう。

原点に戻ろう
        境界線上で希望なく歌をうたう


Day 38

かつて飯名尚人さんに、「一筆書きみたいなつくり方」と言われたことがある。ここ3日、冒頭からの立ち稽古が始まって、この「一筆書きみたいなつくり方」がやっぱりいいなぁと実感する。

昨日は冒頭~前半、通しでやってしまう。一筆書き、つまり、大きな流れの中で詳細を即興でつめていく。こうなってくると、8月のヘブデンブリッジでの滞在制作でやっていたテキストをベースにしたシーンづくりや、空間との即興が効いてくる。常にライブであること、これは舞台の一番の面白さだと思うのです。ただ、これを言説化するのには、もう少し言葉が必要。

そして、ついに、最後の譜割が決まる。なんと長い道のりであったことか。ここからはひたすらにパフォーマンスとしての構築。初日まで、あと1週間ちょっと。制作は急ピッチで進んでいく。


Days 37

「歌」が好きだ。

歌うのも好きだけれど、歌っている「人」を見るのが好きだ。

それは「歌」を聴いているという感覚よりも、「音楽(そのもの)である/になってしまう人」を見ている驚きや感動。

昨日、光介さんが最高な動画を教えてくれた。

8時間のお稽古ビッチリ。最初の30分は「即興的」な通し。こうして少しずつ伸ばしていくしかない。


Day 36

稽古の最終フェイズ。三ノ輪でのお稽古が始まった。

舞台チーム、音響・照明・映像・衣裳・舞台のプランナー、オペレーターたち、出演者、主催であるPAIRの面々も集まり、一同会しての改めて顏合わせとミーティング。

冒頭から全体の1/4の立ち稽古、ここからはどんどんつなげて通しての稽古。24曲、性格の違う楽曲が、芝居を通してつながっていく。ところで、この楽曲について、出演者の小野君が紹介してくれるという稀有なイベントが、Facebookのイベントページで繰り広げられているので、ご興味がある方は覗いてみてください。☛小野君の楽曲紹介はココをクリック。

これまでも、楽譜をみながら「1」から順番にあたっていく歌稽古はしていたけれども、当たり前だけれども、全然違う。いろんな要素が求められる。それを見ていたら、2016年に上演した『絶対飛行機』の日本語版を思い出した。この上演は90分分のセリフを全員が全部覚えていて、4人の役者が役を取り合うという遊びをしながら物語るという上演だった。この時も約2カ月間の稽古で、とにかく膨大な量のセリフを覚えるという受難。登場人物25人、47の場面を4人で演じるというなんでそんな危ない上演プランをやってしまったのかというすごい作品だったけれど、この時の混乱に近い状態が起こっている。結局のところ24の楽曲を、リード、ハモリはあれど4人で歌い続けることになるので、休憩している暇はない。4人の関係性がこの作品を支える基盤になる。焦らずやるしかない。

さらに、各楽曲の細かい発音のチェックやら、ハモリの確認やら、挙句にはまだ手をつけていなかった最終楽曲のお稽古も。今日はどこからいきましょうかね。

今日は、佐藤信さんの『絶対飛行機』(虚空文庫掲載)から引用させていただきます。

「いちばん始まりはどこだったのかしら遠い昔あたしたちは東の方からやって来たってあの人たちから聞いたことがあるけど」
「東はお陽さんが昇ってくる方角だからねあいつらなんだかんだと言ってても腹の底じゃ私らを怖がってるんだよ」
「時々石を投げたりするのはそのせいなの?」
「そうさまさかお陽さんに石は投げられない」


Day 35

一昨日、PARADISE AIRでの公開リハーサルを終え、いよいよ今日から三ノ輪のたなか舞台芸術スタジオでのお稽古が始まる。このクリエイションの最終フェイズ。
ここまで、2018年のニーナ・ケイン&滝本直子との若葉町ウォーフでのレジデンス、テキスト・シェアリング版の初演と3ヶ所での再演に始まり、ほぼ一年をかけた鈴木光介の作曲作業と、夏のヘブデンブリッジでのレジデンス、さらに12月にミンファも加わってのワークショップ週間、2月後半からココキタとパラダイスでの歌稽古と積み重ねてきて、よえやく今日から最後のお稽古が始まる。
オペラと考えれば当たり前(むしろ短いくらい)かもしれないけれど、タイムスパンが長いせいか、今日、劇場入りするような気持ち。得体の知れない居心地の悪い、ちょっとした興奮を伴う緊張感が昨日の夜から続いている。
でも、まだ10日もある。10日もあれば、作品は見違えるように生まれ変わることもできる。この10日間、劇場でものづくりができる、という気持ちでやればいい。
他人を興奮させ驚かせ魅了し衝撃を与え好奇心をそそり面白がらせ楽しませ誘惑する
社会的制約から自由になる
強制や締め付けに反抗する
リーディング版では、この宣言に対してすべて不許可の音がブブーッと鳴った。

Day 34

今日の公開リハーサルに向けて、松戸のパラダイス・エアにてお稽古。

光介さんが戻って来て、そしたら、楽曲もより複雑になって帰ってきた。リードボーカルもハモリもあって、結局24曲を4人で全部歌っている状態。光介さんはプラスいろんな楽器の演奏もあるので、まさに「ひとりオーケストラ」状態。

サラ・ケインのテキストにもまさに「ひとりで奏でる交響曲」という表現が出てくる。

この企画を立ち上げて、オペラにする、というと、楽器はどうするのか、生オケなのかと聞かれることが多かった。その度に、鈴木光介のひとりオーケストラでやります、と答えていた。それは、滝本直子がやっていた1人きりのリーディングからの変化形でもある。

サラ・ケインがひとりで書き続けたということの、翻訳でもある。

原点に戻ろう
境界線で希望なく歌をうたう

Day 33

「オペラ」の演出は初めてする。デビューです。

全編が音楽で構成されていて、はて、演出って何をするんだろう、と、言葉にしてこなかったけれど、実は、お芝居のお稽古と同じだということに気が付いた。

ここ2週間は、ひたすらに「歌」のお稽古だったわけですが、それは「歌だけ」のお稽古ではない。私たちには、まず、サラ・ケインの言葉があるから、結局テキストを読んでいく作業ということに変わりはない。

サラ・ケインが台本に役名をつけなかったように、ト書きをいっさい書かなかったように、それぞれのシーンを点線で区切ったように、我々の歌にはタイトルがない。

ただ、メモのように書かれた、言葉の塊、フラグメントに、便宜上数字をふっていて、曲名も「1」とか「22」とか呼んでいる。曲名というよりも、何番やります、っていうだけなんだけど。

「5」、カルテをそのまま抜き出したような言葉の羅列。「5」をメインで歌うのは小野君。滝本さんが24曲中一番好きという「5」。ヘブデンブリッジで夜中に作曲されたこの「5」を、朝初めて聴いたとき、にやにやしながら震えた。そして、長くて大変なこの曲はオルフェオのように1人の歌手に歌ってもらおうと思った。

わけのわからない医者、筋の通った医者、カッコいい医者。医者だという証拠を見せてもらわなければまったく患者にしか見えない医者。医者たちが同じ質問をしてきて、答えを押し付け、先天的な苦痛に化学療法を申し出て、互いのケツの穴を隠して、こっちが叫んであの医者を呼ぶまで、ただひとりの医者、自分から私に触ろうとした。目をまっすぐに見た、お墓に入ってるような声で言ってみたギリギリの冗談に笑ってくれた、髪の毛を剃ったら面白がった、会えて嬉しいよって嘘ついた。嘘つき。会えて嬉しいって言った。信じた、好きだった、痛いのはあなたを失ったからじゃない、医者の仮面をかけたあつかましい嘘のせい。

怒りだ。鬱は、怒りだ。

Day 32

声楽家の大槻孝志さんを稽古場に招く。

2016年エリック・サティの音楽劇『メドゥーサの罠』でご一緒させていただいた大槻さん。何回目かの打ち上げの席で、オペラの演出をしたい、オペラをつくりたいと言ったら、「やってください!」と背中を押してくださった。

今、思えば、この時サイコシスのオペラにいよいよ取り組む覚悟を決めたのだと思う。こうしてこのプロジェクトを立ち上げることができたのは大槻さんのおかげ。

その大槻さんが、お稽古場に来てくださった。

小さいスタジオの空気が少しピリリと引き締まる。

約2時間の短い時間に、つくったばかりのハーモニーも含めて約20曲。途中「おかわり」(返し稽古のことをいつの間にかこのお稽古場では「おかわり」というようになった)もしながら、時間がなくて全曲とはいかなかったけれど、時間いっぱい聞いていただいた。

電気音響バンバンで、クラシックの「オペラ」から想像するものとは遠い(かもしれない)この作品の誕生を、大槻さんが祝福してくださって、本当に嬉しかった。

光介さんの膨大な量の作曲を、一曲一曲楽しんで聞いてくださり、曲の良さを引き出して味わってくださり、そして、作曲家の仕事にもっと光があたるべきだと言ってくださる。

昨今の不安な状況の中で、大槻さんの優しく力強い言葉にどれだけ励まされることか。本番、3日間、お待ちしております!

稽古場を2日間オフにして、出演者のみなさんには「暗譜」をお願い。いよいよニーナ・ケインの来日も近づいている。ココキタでのお稽古は今日で最後。もう作品は存在している。2週間後、生まれる。

Day 31

リハーサル第1週を終えて、昨日は8日ぶりのオフ日。

今日から第2週。

サラ・ケインの戯曲に少しでも触れたことのある方は、そのスラングの多さにびっくりされるかもしれません。「4.48 PSYCHOSIS」の中にも、35回もF**Kが出てきます。数えたわけではないんです。ワードでつくった台本原稿で検索かけたら、35件出てきました。

一人語りのような見た目の作品ですから、このF**Kを誰に向かって言うのかという問題が出てきます。もし、舞台上の俳優がこのセリフを観客に向かうように言ったらどうでしょう。不快です。少なくとも私は不快に思うし、サラ・ケインの作品ではなくて、別の作品で同じような体験をしたことがあり、非常に不快に思いました。大体、「お客さん」に言っているセリフではないと思いますし。

では、一人語りなのだから、自分に向かって言うようなセリフにしてみたらどうでしょう。うーん、こっちもどうも「誤読」のような気がします。自分自身に語りかけているセリフでもないのです。

じゃあ、どうしたらいいのか。35回も連呼されるF**Kをどうしたら成立させられるのか。今、これを、観客と共に“言う”ことではないかと、模索しています。

余談ですが、ロンドンに語学遊学していたころ、イギリスの文化の授業の中で、F**Kがどんなに汎用性が高く、どんなに素晴らしい言葉であるかを1コマかけて熱弁した先生がいたことをよく覚えています。

そんなところで、今日も、行ってきます。乱文、失礼いたしました。

Day 30

昨日も新曲を3曲。いよいよ、新曲の残りは少なくなってきたものの、これだけの量の歌を暗譜する、しかも英語の歌詞でって、本当にすごい作業量になりますねぇ。明日のオフが楽しみな日曜日のリハーサル道中。

稽古時間のラスト1時間をつかって、すでに当たっている曲を全部歌っていく。つなげて歌っていくと、当然なことながら結構なボリューム。今度は1曲1曲では見えなかったつながりのエネルギーみたいなものが見えてくる。こうやって少しずつつながっていくし、つなげたことで雰囲気で押しても駄目。結局、1語1語をきちんと伝えていく作業に戻っていく。

照明プランナーの横原さんが稽古場に来て、いつものように喧々諤々して空間プランニングも始まる。本当に満足するところまでやる。

さて、初日までちょうど3週間。今日もLET‘S PUNK⚡⚡⚡

Day 29

昨日も新曲を1曲。滝本さんと星羅さんのツインボーカル曲。

サラ・ケインのテキストに対する読みがあって、そこから光介さんの音楽があって、今度は歌としてどう歌うかというのがあって、そうやってどんどんエネルギーが交換されながら誤読が進んでいく。こういう作業がとても好きです。

同時に進んでいる映画チーム、若き映画監督・北川さんと野畑さんの協働作業の進捗が入る。とても丁寧な仕事に、歌錬チームも大盛り上がり。映像の主人公、主演男優賞獲得間違いなしです。映画としての仕上がりも、その映画が上演と合体するのも、本当に楽しみ。

2月は29日。閏年。今日は新曲3曲に挑戦です。

Day 28

先日のライブでは6曲を披露した。楽曲は全部で24曲あるので、次回のライブは別の6曲でと考えていたのだけど、帰り際、PARADISEの森くん、宮武さんから、1曲は同じ曲でもいいかも、進化がわかるから、という提案をもらった。それもその通りだと思い、じゃあ、どの曲がいい? リクエストに応えるよというと、「18」がいいという。ちなみに、これらの曲には、曲名がついていないので、今はシーン番号で呼んでいる。「18」というのは、空間がねじれるような、そうしてワァァァ~~~~と広がっていくような曲なのだけど、これが耳で聞くより歌うのがとっても難しい曲なのだ。実際にライブの前に稽古してびっくりした難曲。光介さんは、ごめんなさいなぇ~と笑っているが、歌う方はねぇ、大変。ということで、稽古ライブでもモヤッとしたこの「18」が、次回のセットリストに入ったのでした。

昨日も新曲を2曲。それから、このモヤッとしている「18」と、超絶早口を求められる「12」の練習。「12」も次回のセットリストに入るだろうなぁ。

ということで、写真は「18」のリズムとりでドツボにはまって(でも笑顔!)の星羅さん。さて、今日もお稽古行ってきます~!

Day 27

ライブの疲れが残ってますねぇ。でも約5時間のビッチリお稽古。

まだまだあたらなきゃいけない新曲がもりもり。まずは全体量をしっかりつかまないと、体力配分を誤る。こんな時だからこそ、毎日やらなければいけないことを明確に。テンポをつくっていかないと。

ココキタの稽古場にも慣れてきて、時間で借りている音楽スタジオが少しずつ自分たちの場所になってきてるのもわかる。このチームはヘブデンブリッジでの2週間レジデンスが最初のクリエイションだったので、通いのお稽古でもなんとなく生活している感が強いと思うのは私だけでしょうか。

舞台監督の伊東さんが舞台の素材見本をもって稽古場にきてくれる。イギリスツアーまで見据えた素材選び。予算、運搬のためのパッケージ、だけど、しっかりイメージにあうもの。こうして、歌だけでなく、舞台が少しずつ前に進んでいくのが、私たちの日々。今は粛々と、進めるしかない。

先週まで「旅のお供」をしていた岩手県・西和賀の学生演劇合宿「ギンガク」はそろそろ本番を迎えるころ。演劇を始めたばかりの若い世代に、遠くからエールを送る。

Day 26

リハーサル3日目の公開稽古=ライブ。色んな方が足を運んでくださって、とてもいい雰囲気でした。やっぱり、PARADISE AIRのふんわりと尖っている空気が、今回のこのライブの実現の理由。

PARADISE AIRの立ち上げ人のひとりである森くんが最後に言っていたように、今日の満足度ではなく、いろんな要素が見えて、これが変化していく過程に可能性を感じてもらえたら、それはとても嬉しいことです。

今回、原語である英語での上演になるわけですが、昨日のライブでは字幕が出ていなかったので、音楽を聴きながら歌詞を台本でおってくださっている方が何人かいらして、こうしてテキストに興味を持っていただけるのは面白いなと思いました。(本番は英語と日本語の字幕がでますよ!)歌詞の内容を知りたいとおもっていただけることも嬉しいし、音楽と言葉のある種のズレを読み込んでくださっているのだとも思います。

さて、今日もお稽古は続きます。次のライブは3月8日(日)。そこに向けてというよりも、その先に向けて、ドンドンやっていかねばね。

Day 25

リハーサル3日目。ライブ。

ライブの稽古ではなく、稽古のライブ。

松戸でアーティスト・イン・レジデンスを中心とした活動をしているPARADISE AIRでのライブです。

今回のパンクオペラでも、最初の2週間をヘブデンブリッジでの滞在制作にしたのは、オペラ、現代音楽、演劇、美術、研究者の初顏合わせで、創作方法自体をつくらなければいけないと思ったから。そのひとつは作品をつくるのにかける時間を共有するというシンプルなことでもあって、共同生活をしながら、のんびり作品をつくる時間を過ごす。経験や方法論が違うからこそ、この贅沢な時間が必要であったと思います。

劇場での上演作品は、かならずしも制作過程を共有することが得意ではないし、かといって、完成した作品を「作品」として値段をつけて売れるだけが目的でもない。その創作過程も、作品も、「消える」と「また立ち上がる」を繰り返すのが面白さ。

今回PARADISE AIRと組む時に、レジデンスという枠の中にこの「消える」「また立ち上がる」を入れてもらえるのではないかという期待を持った。だから、今日の公開リハーサルは「ミニライブ」という形をとって、立ち上げて、消えようと思う。

Day 24

家を出る直前に、光介さんから24曲目が届く。10分の長曲。聴きたいけど、聴いていたらミーティングに遅れてしまう。携帯に曲をダウンロードして、大きなヘッドホンをつかみ家を出た。バスを待ちながら、出来立ての新曲を聴く。4月から続いていた作曲がこれで一区切り。もうこれ以上、新曲を待たなくていい安堵と、これ以上、新曲が届かないという寂しさで言うと、寂しさがちょっと勝るくらいに、毎度、光介さんからのデモが送られてくるのを楽しみにしていた。誰よりも光介さんの音楽を最初に聴けるのが、喜びだった。新しい音楽ファイルを開いて、笑ったり、ゾッとしたり、叫んだりしたものです。

とはいえ、ここからが、いよいよ舞台をつくる時間。4人の歌い手の声で歌われて、一挙に音楽の次元が変わる。昨日は劇中で上映する映画を撮ってくれる北川未来さんと野畑太陽さんがスタジオに来てくれた。2人の撮影アイディアが、稽古場に刺激をくれる。さらに、ロンドンにいるジュエリーアーティスト角田美和と、衣裳/メイクの方針を相談。短いオンラインのやり取りで、がっちり肝をつかんでくれる。これまでのワークショップの時間が地下水のように流れる上で、ものすごい勢いでクリエイションが進んでいく。この波は、勝手に起こっている。サラ・ケインの言葉がその発語を要請してくるように、パンクオペラが自ら立ち上がってくる。ものすごい唸り声を上げながら。

さて、明日はライブという名の公開リハーサル@PARADISE AIR。どうなるかな。

Day 23

東京上演に向けて、本日よりリハーサル開始。

道のりの長い企画。せっかくなので、ここまでを振り返っておきます。

2012年5月 クレンズド・プロジェクト本公演『洗い清められ』にて、『4.48 PSYCHOSIS』のオペラ化を誓う。

2017年8月 若葉町ウォーフでの絶対的『絶対飛行機』広東語×日本語×英語の多言語バージョンレジデンス制作最終日に音楽家・鈴木光介に、いよいよ『4.48 PSYCHOSIS』をオペラ化したいと宣言。やろう!と言って握手した。

2017年10月 ダブリンにて、ドラマトゥルクのニーナ・ケインと再会。上演についての最初のイメージと作業方針を確認。

2018年1月末~2月上旬 若葉町ウォーフにて10日間にわたるレジデンス。ニーナ・ケイン、俳優の滝本直子と3人で、台本を読み解く作業。その成果として、リーディング版『4.48 PSYCHOSIS』を上演。

2018年12月 同リーディング版を、「テキスト・シェアリング版」と改名し、仙台と横浜にて再上演。光介さんから、川口智子に求めるのは「コンテンポラリー・パンク・演劇」との言葉をもらう。

2019年3月 前8月に出会っていた台湾の振付家・葉名樺に出演を依頼。

2019年4月 同テキスト・シェアリング版を枝光(北九州)にて再演。この版から発見した関係性を言語化し、光介さんにバトンタッチ。光介さんの作曲作業が始まる。

2019年5月 出演者オーディション実施。出演メンバーが決まる。

2019年5月~6月 光介さんと2人テキストの読み込み作業。

2019年6月 台湾にて葉名樺とミーティング。作業方針を探る。

2019年8月 イングランド北部の小さな村ヘブデンブリッジにてレジデンス。出演者の小野友輔、中西星羅、滝本直子、作曲の鈴木光介、ドラマトゥルクのニーナ・ケイン、メイクの角田美和と2週間を共に過ごしながら、クリエイションの方針を実験する。光介さん作曲作業。

2019年12月 葉名樺と出演者による5日間のワークショップ。8月からこの間、光介さんの作曲作業。

2020年1月~2月 光介さん作曲作業、各プランナーとの打ち合わせおよび台本制作作業。上演のためのリハーサルにむけた方針。

2020年2月23日 リハーサル開始←いまここ

書き出してみたからなんだということはないけれど、長い。この作品をつくる作業に物質として必要だった時間の長さ。思い入れの深さ、とかではなくて。

この間の作業日記はどこまで書くかなぁと、考えながら、ひとまず本日のリハーサル前に更新しよう。今回は、1日ズレて発信していくかな。どうしようかな。

なにはともあれ、行ってきます。Let‘s PUNK⚡⚡⚡

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